2024年沖縄大学学生自治会執行部選挙の総括
沖縄大学学生自治会前委員長 赤嶺知晃
沖大生のみさなん、1月17日~23日まで行われた沖縄大学学生自治会執行部選挙への投票ありがとうございました。(選挙結果 信任52票 不信任85票 白票47票 無効票19票 計203票)
残念ながら信任とはなりませんでしたが、この時代に「辺野古新基地建設阻止! 沖縄を中国侵略戦争の出撃基地にするな」「パレスチナ連帯! 岸田打倒し、世界戦争阻止へ!」「山代学長体制打倒し、処分撤回へ!」の訴えに52人もの学生が信任の票を投じてくれたことを本当に嬉しく思います。
沖大当局による、学内での学生自治会選挙の妨害、反戦運動つぶしは凄まじいものでした。しかしこの中で203人もの学生が投票してくれました。これは凄まじい決起です!
信任票を入れてくれた52人とさらに団結を固め、信任とはならなかった学生ともさらに議論を深め、巨大な反戦闘争を作るためにこれからも闘っていきます!
世界戦争が始まる中での選挙戦
今回の選挙は、ウクライナ戦争という形で世界戦争が始まり、その世界戦争がウクライナ、パレスチナ、中国というかたちで三正面の世界戦争として進行している時代の中での選挙でした。これまでのような「戦争絶対反対」「あらゆる戦争に反対」というような抽象的・理念的な言葉では、戦争を止める反戦運動にはならず、具体的に反戦の中身が問われていたのです。
私は、選挙に立候補するにあたって、抑圧や虐殺に立ち向かう世界の労働者階級と連帯するということを徹底しました。
日本においては、ウクライナ戦争に対して「NATOもロシアもウクライナから手を引け」と声を上げることが求められています。すでに露ウ両国で50万人以上の人々が犠牲になっています。またウクライナ国内でも徴兵逃れが2万人に達しているにも関わらず、NATOと日本政府は、ウクライナに膨大な武器を送り、戦争を激化・泥沼化させています。私たちには戦争を激化させる岸田政権の打倒がなによりも求められています。
また同時に、パレスチナ人民の闘いに対しては、帝国主義に対する民族解放闘争の闘いとして断固支持する立場が求められています。イスラエルはアメリカの主導での1948年「建国」の過程以来、76年間もパレスチナに対する侵略戦争と虐殺を繰り返してきました。今でもガザ全土への侵攻と民族浄化のための虐殺を行っています。この民族解放闘争に対して、日本に住む私たちが「反戦が大事だから、イスラエルも悪いけど、パレスチナ人も武器を捨てろ。闘いをやめろ」と説教することなど絶対にできません。
今回の選挙は、世界の労働者階級の立場に立ちきるスローガンを掲げ、世界戦争の時代になんとか食らいつくものとして選挙にのぞみました。この選挙に203人の沖大生が真剣に考え、投票したことが決定的です。
辺野古新基地建設に絶対反対!
沖縄において、岸田政権による辺野古の埋め立て強行と対決する、根底的な闘いが求められています。
選挙直前の1月10日、岸田政権は、辺野古新基地のための大浦湾埋め立て工事を強行しました。元防衛省幹部が「工事を進めて移設を既成事実化し、沖縄の『戦意』をくじく。それが政権の意思だった」と語ったように岸田政権は、機動隊による暴力行使も使って辺野古新基地建設を強行し、沖縄県民に「あきらめ」を植え付けようとしています。
しかし、1月12日に行われた辺野古ゲート前での埋め立てに抗議する集会では、900人が集まり、あきらめるどころか新基地を絶対に許さないという怒りの声で満ちていました。辺野古ゲート前では、G7サミット粉砕闘争など全国で反戦闘争に決起し、学内で機動隊と激突しながら闘う沖大学生自治会にも熱い支持の声がありました。集まった人々は、「争うより愛そう」というような反戦の訴えをあいまいにする内容を求めていません。辺野古新基地建設反対の闘いを岸田政権と徹底対決するものとして闘うことが求められています。
排外主義うちやぶり、中国侵略戦争反対の声を!
そして、米日政府が沖縄を中国侵略戦争の出撃基地として位置付け、沖縄全体を動員するために辺野古新基地建設を強行する中で、中国侵略戦争反対を鮮明に訴えることが求められていました。
第二次大戦後の世界の基軸国として君臨したアメリカは、今日すさまじい政治的・経済的な没落を深めています。大統領選をめぐっても、コロラド州立最高裁判所に同州での予備選出馬資格を剥奪されたトランプが共和党の最有力候補になるなど、アメリカは内乱状態になっています。世界支配どころか国内支配を維持する力を失うほど没落したアメリカは、アメリカは、その世界支配の維持をかけて「世界第2位の大国」中国への侵略戦争に活路を見出しています。岸田政権も自らの支配の延命をかけて、アメリカ・バイデンと共に中国侵略戦争につき進んでいます。
アメリカが「台湾有事」を口実にして中国との全面戦争を狙うなかで、台湾総統選を前後して、中国に対する凄まじい軍事圧力をかけています。昨年の11月には台湾への武器早期供給を表明し、在沖海兵隊の海兵沿岸連隊(MLR)への前倒し再編を強行、さらに中国を射程に収める地上配備型中距離ミサイルを運用する多領域作戦部隊(MDTF)のアジア配備も24年中に行うと表明しました。中国に対して「力による現状変変更は許さない」と恫喝しながら、アメリカ・バイデンは、中国侵略戦争の具体的準備を着々と進めています。
また、沖縄には12月20日から1月16日まで、相手国の市街地や生産施設の破壊を目的にした米軍の戦略爆撃機B1Bが2機駐機していました。琉球新報で「今月13日に実施された台湾総統選挙をにらんで中国をけん制するため、しばらく嘉手納基地に駐機していた可能性もある。」と指摘されているように沖縄が軍事力によって、台湾と中国の人民を睨みつけ、脅すための軍事要塞になっているのです。
1月9日、自民党副総裁の麻生太郎が「(台湾海峡有事は) 日本の存立危機事態だと日本政府が判断をする可能性が極めて高い」と述べました。これは、台湾海峡での「有事」に自衛隊を介入・参戦させるという日本政府としての中国侵略戦争への突入宣言に他なりません。
中国もミサイル発射など軍事行動をしています。しかし、軍事・政治・経済を総動員して中国侵略戦争に向けた戦争挑発を行っているのは、日米政府です。激しく戦争挑発を行っている日米政府のことを語らず、中国の軍事対抗のみを問題にするのはペテン以外の何者でもありません。
日米の一握りの支配者のために中国・台湾・沖縄が地獄の戦場にされようとする中で、沖縄から「中国脅威論」を打ち破り、日米の中国侵略戦争反対を鮮明に訴えることが求められていました。
排外主義に屈服する沖大リベラル教員
しかし、沖縄大学の教員を先頭に既成のリベラル勢力は、日米による「中国脅威論」の大宣伝と対決することができず、それどころか「中国脅威論」の後押し部隊になっています。
台湾総統選後の琉球新報の記事では、台湾の研究者に台湾有事を無いと語らせ、その理由を「27年に戦争(台湾有事)が起きるという予測が多いが、可能性は非常に低いと思う。まず習氏が自軍を信頼できていない。」としています。あくまでも中国の動向のみで台湾有事が無いと語り、日米の軍事圧力は全く問題にしていないのです。沖大教授の若林千代も同紙に登場し、「台湾の人々は…(米中の)どちらの極にも振れすぎないようにバランスをとってきた。」と語り、日米の圧倒的な軍事圧力・内政干渉を免罪し、単なるバランス外交の問題かのように矮小化しています。若林は、「台湾有事の回避」と語りますが、現実の沖大キャンパスでは、中国侵略戦争反対を訴える学生を弾圧し、処分を下すなど弾圧の先頭に立ってきました。
大学が排外主義に染まり、中国侵略戦争反対を訴える集会が弾圧され、リベラル教員が弾圧に加担しているのです。沖大には中国人留学生も多く通っています。こんな状況を1秒たりともゆるすことはできません。だからこそ、選挙において中国侵略戦争反対を鮮明にして訴えました。
排外主義の圧力やリベラル教員の裏切り・屈服を打ち破って、このスローガンに52人もの学生が信任票を入れたことは決定的です。沖大生が中国侵略戦争に反対する意志を示したことは、戦争を止める労働者の国際連帯を大きく前進させるものです。
学生の根底的な反戦の声
この戦争への意志は、数年間、機動隊による弾圧に屈せず闘ってきた学生自治会と沖大生の団結によって維持され、鍛えられてきました。
沖大学生自治会は、一昨年の開戦当初からウクライナ戦争に反対し、今年10月以降はイスラエルの虐殺に怒り、パレスチナ連帯で声を上げてきました。これに対して、沖大当局は、学内の反戦集会に機動隊を導入し、学生自治会委員長の私に処分を下すなど、激しい反戦運動潰しの弾圧を繰り返してきました。しかし、こうした激しい弾圧があったにも関わらず、学生自治会が処分撤回で不屈に闘い、それを軸にして沖大生も当局に屈せず、戦争への怒りの炎を燃やし続けていたのです。この学生の怒りがあらゆる圧殺攻撃を打ち破り、信任に結びついたのです。
今回の選挙で信任を入れた52人の学生とさらに討論し、共に行動していける団結をつくっていく決意です。今の沖縄において、さらに多くの沖大生が目に見える形で立ち上がれば、沖大であり、沖縄全体の反戦運動の闘いを大きく前進させることができます。
また、信任とはならなかった沖大生ともこれからの討論を深めていくことを通して、選挙スローガンでの一致と、沖大生の巨大な反戦決起は必ず実現すると確信しています。
沖大当局の弾圧を乗り越えた投票行動
私は、沖大当局による凄まじい弾圧体制下で、1週間という短い期間で203人の沖大生が投票に決起したという勝利的地平をなにより確認したいと思います。
投票した沖大生は、全員が認識していると思いますが、学生自治会選挙の過程は、弾圧に次ぐ、弾圧との闘いでした。
1月16日の沖大処分撤回集会に対しては、沖大当局が機動隊を呼んで集会参加者を学内から排除しました。これは、辺野古新基地建設を強行する岸田政権と全く同じ手口です。山代学長は、機動隊の暴力を通して全学生に対して、「黙って従え」と脅しをかけているのです。
選挙中は、専任教職員のみならず非常勤教員にまで、学生自治会選挙を見かけたら学生課に通報し、妨害するよう通達していました。教員が「公平性がない選挙だ。信用できない人間だ」と怒鳴るなど、凄まじい妨害のなかで選挙活動が行われました。
また沖大当局は、清掃員に反戦ビラを回収させ、選挙最終日には、学生掲示板から画鋲や押しピンを全て撤去し、あらゆる学生のビラを貼れないようにしました。学内で「学生自治会選挙」「反戦」という文字自体を学生に見せないようにするため、徹底的な禁圧体制が敷かれました。
今回の選挙に対して、SNSでごく一部の人が「たった200票しか集まっていない」と言っていますが、これは投票現場の弾圧の激しさを知らない的外れなコメントです。選挙での1票1票は、学生の決起そのものです。
203票の真剣な投票からさらなる一致の強化へ
沖大生は、赤嶺委員長候補の訴えを聞き、真剣に考えて投票しています。教職員が監視、弾圧し、投票行動自体を妨害しているので、投票そのものが安易にできるものではないのです。
今回の選挙で、大学当局の妨害を乗り越えて、不信任票を入れた学生を安易に「学生自治会を否定しており、山代学長を支持している」と規定するのは明確な間違いです。投票という形での学生の決起を歪めるものであり、絶対に許すことはできません。
不信任を入れた学生とは、私の選挙スローガンに一致しきれなかったということです。悔しい結果ですが、今回の選挙スローガンは今後ますます重要性を増していきます。選挙の結果を踏まえ、さらに学生との討議を深め一致を強化・拡大していきます。
「あきらめを」を打ち破る学生の決起
沖大学生自治会執行部選挙は、沖大当局の反戦運動、反戦意識を抑圧する体制を跳ね返して、学生の反戦の思いを形にし、力にした重要な闘いでした。選挙期間中は、「スローガン聞いたら信任しかないですよね」という学生や「辺野古の基地は無い方がいい」と怒りを表明し、票を入れてくれる学生がいました。岸田政権の「あきらめ」を煽る圧力を吹き飛ばす学生の怒りの意志を示したことが決定的です。
リベラル教員の本当に許しがたい弾圧内容の実態
そして今回の選挙では、「リベラル」教員の反動的突出は凄まじいものがありました。「沖縄戦の記憶の継承」という講義では、教員が休み時間の反戦の訴えを禁止し、それでも投票を呼びかける学生に対して「学生が不快な思いをするからやめろ」と言いました。慰安婦問題を研究する教員は、休み時間の選挙の訴えをK-POPを爆音で流すことで妨害し、講義が始まると日本軍が朝鮮の学校教育に暴力的に介入していく映像を何事も無かったように見せていました。こうした、「反戦」を語りながら、戦前・戦中のような学内での反戦運動潰しに加担するリベラル教員たちが、最も強力に山代学長体制を支えています。
リベラル教員が総屈服するという戦争の時代に、学生自治会が大学当局との激突=内乱になることを恐れて、内容を薄めるということは断固拒否しました。こちらから反戦の訴えを鮮明に出し、学内で内乱的状況を作り出し、学生との真剣な討論を通して、一致していく道を追求したことは、この時代に本当に戦争反対を貫いていく上で決定的に重要だと確信しました。
沖大当局こそ選挙結果に震えあがっている
1・16処分撤回集会での辺野古と同じ手法の弾圧に対して、多くの市民の方が共に怒ってくれています。機動隊を使った弾圧を告発する沖大学生自治会のXのポストは400件近く拡散されています。
沖大に内在している統制することのできない学生の怒りと沖大を包囲する沖縄の労働者民衆の怒りに、山代学長体制は追い詰められています。今回の選挙結果に最も恐怖しているのが沖大・山代学長体制です。
沖大生の皆さん、共に、山代学長体制を打倒・粉砕し、沖大から巨大な反戦運動をまきおこしましょう。
以上
沖大当局の弾圧を告発する動画は、コチラから