10月13日に翁長知事が辺野古埋め立て承認を取り消したことに対し、①石井啓一国土交通相は10月28日、取り消しの効力を停止しました(防衛省からの申し立てに応えるという茶番です。沖縄県は11月2日、「国地方係争処理委員会」に不服審査申請)。②併せて国交省は、翁長知事に取り消しの是正を勧告し、知事に代わって取り消し処分を撤回する「代執行」の手続きに踏み切りました。③さらに防衛省は翌10月29日、埋め立てに向けた陸上での作業に着手しました。
29日早朝、辺野古では朝6時半に県警機動隊員のバス10台がキャンプ・シュワブ内へ。その後ゲート前に座り込んだ約100人を100人が強制排除にかかり、もみあいに。海でもフロートやオイルフェンスを設置しようとする作業船の行く手を阻んだり、フロートやオイルフェンスにしがみついたり、激しい抵抗が闘われました。これに対し、機動隊は抗議する1人を「器物損壊容疑」で逮捕するという暴挙に出ました。絶対に許せません!
これに先立つ26日、政府は久辺3区の区長と首相官邸で懇談し、基地建設に反対する名護市の頭越しに「振興費」を直接出す方針を伝えました。
さらに、11月4日には、シュワブ・ゲート前に東京から警視庁の機動隊100人が投入されました。県警の機動隊100人と合わせて200人が抵抗する人びととぶつかり、逮捕者やけが人が出ています。11月12日には、7月以降中断していた海底ボーリング調査も再開しました。
菅義偉官房長官は10月29日、訪問先のグアムで「本体工事着工」とグアム側に伝えました。しかし、これは政治的な表明であり、既成事実化をはかる演出です。
沖縄防衛局が県に提出した工程表によると、本体工事に着手する最初の月に、29日に着手した作業ヤードの工事だけでなく、護岸工事、工事用仮設道路工事、美謝川の切り替え工事なども予定されています。工程表では、土砂を投入する埋め立て工事は12カ月目(2年目)からで、2016年10月ごろと見込まれています。さらに、埋め立てに5年、施設整備を含めて工事全体は9年半とされています。
これに対し、県は、特定外来生物の県内流入防止を目的に7月に県外からの埋め立て用土砂搬入を規制する条例をつくりました。さらに今、名護市教委が、作業ヤードと仮設道路予定地で文化財調査を行っています。来年2月までの予定で、現在はまだ作業ヤード予定地の一部しか終わっておらず、全体の10分の1です。調査が終わっていない場所は着工できない上、仮に着工しても文化財が見つかれば工事は中断しなければなりません。県は美謝川の切り替え工事など、工事の設計変更に対する承認権などいわゆる「知事権限」を使って阻止する構えです。
もちろん、「その都度執行停止と代執行で権限を取り上げればいい」と防衛省が言っているように、「知事権限」などでの抵抗には限界があります。 一切はこれからです。
それにしても、「執行停止」のデタラメさには本当に腹が立ちます。
「執行停止」は、本来、行政=公権力の処分によって私人に不利益が出た際の救済制度である「行政不服審査請求」制度を使った何重もの意味でのペテンです。
沖縄県は行政ですが、しかし対する国も私人どころか沖縄県以上の公権力そのものです。なのに防衛局は、自らを「私人と同等」と称して、国土交通大臣に不服を申し立てたのです。県の取り消しの是非を採決したり、「緊急を要する」として採決までの間取り消しの効力を「執行停止」するのが、申し立てた当人と同じ政権内部の人間なのです。これを茶番と言わずになんと言うでしょうか。
しかも、安倍政権はこれと同時に「代執行」の手続きを開始しました。「代執行」とは、国が自治体に委託している事業を自治体が拒否した場合に、国が権限を取り上げて代わりにやるという制度です。形式上は国が「他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められること」を証明せねばならず、高裁や最高裁の判断を仰ぐという形をとりますが、要は国家の強権発動です。
一方で、「代執行」という権力を振りかざしている連中が、「私人」を名乗って救済を求めているデタラメ。他方で、代執行訴訟で判決が出るまでの間も工事が中断しないように、政権内部の決済で知事の取り消しの効力を「停止」できる「行政不服審査請求」を形だけやっているデタラメ。これが「法治国家」だというのなら、そんな国家など打倒されてしかるべきです!
実際「代執行」は、国や体制内勢力がずっと恐怖してきた「辺野古闘争の三里塚闘争化」への道です。「代執行」とは、三里塚闘争の大木よねさんの土地強奪を見れば明らかなとおり、国の強権発動そのものです。国が「銃剣とブルドーザー」をやるということです。倒すか倒されるかの激突である以上、闘いの非和解的発展は不可避であり、倒されるのは間違いなく安倍政権です!
*「抗議活動で死傷者が出たりすれば、世論の流れが一気に傾きかねない」(首相周辺、10月31日付『読売新聞』)
*「県外からの機動隊派遣は、成田空港の建設をめぐるかつての三里塚闘争を想起させる」(11月3日付『東京新聞』)
*「このままでは第二の三里塚闘争にもなりかねない」(沖縄国際大の佐藤学教授)
きなくさい動きは辺野古をめぐる攻防だけではありません。横田基地に配備するCVオスプレイの沖縄での訓練。与那国・宮古・石垣への自衛隊配備。嘉手納基地へのF16戦闘機12機の暫定配備。このような動きの全体が、北朝鮮転覆の戦争計画「5015」の発動準備と連動しています。朝鮮侵略戦争が始まれば、沖縄は間違いなく最前線基地にされるでしょう。
今こそ、「朝鮮侵略戦争阻止! 基地撤去!」を掲げて、労働者の階級的力である沖縄全島ゼネストを闘うときです! これと結びついた現地実力闘争、さらには韓国・民主労総ゼネストとの国際連帯の力だけが辺野古新基地建設を阻止し、安保を粉砕する力だと確信します!
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